「親が死んでよかったね」 ブラック企業に寄せられた衝撃の体験談を弁護士が一刀両断 | ニコニコニュース
(kf4851/iStock/Thinkstock)
国会では、「働き方」が大きなテーマになり、さまざまな企業で「働き方改革」が進む昨今。しかし一方で、ブラック企業に悩む人も少なくない。
■弁護士が対策アプリを開発
東大法学部卒業の弁護士であり、大手戦略コンサルティング会社で経営コンサルタントとして勤務した経験も持つ南谷泰史さんは、スマホアプリ『残業証拠レコーダー』を開発。
GPS機能を使って、未払い残業代請求のための法的証拠を自動で残せるというサービスだ。南谷弁護士が、サイトで「ブラック企業でのエピソード」を募集したところ、予想を大きく上回る体験談が寄せられた。
その中でも衝撃的なブラックぶりな体験を紹介しよう。
■家族がガンになって…
ひーるそんさんがある企業に勤め始めてすぐのこと、母親に重い病気が見つかったという。
「入社2年目のことです。母親がガンになり、その看病と病院通いのため、残業など(当然サービス残業です)あまり協力できないことを伝えました。上司に承知してもらえたのでよかったと思いましたが、先輩や教育係に『自分だけ大変だと思うな』『母親が病気なんて、仕事に関係ない』などと言われました。
自分にも甘えがあり、先輩方の言うとおりだと思い、歯を食いしばって何とかこなしました。結局、母親は亡くなりましたが、その後、仕事に打ち込めるようになりました」
■先輩「お母さん、死んでよかったね」
もっとも身近な家族の闘病と死。それに歯を食いしばって耐え、仕事に打ち込むという状況も、すでにブラック企業に「洗脳」されているように感じられるが、さらなる悲劇が襲うことになる。
「ところが例の先輩に『お母さん、死んでよかったね。仕事、集中できるようになって!』と言われ衝撃を受けました。上司に抗議しても、『その通りだろ』という対応。
あまりにも衝撃が大きく、私自身も病気になりそのまま退職しました。あのタイミングで会社の狂気に気づいてよかった! 母親が教えてくれたのかもしれません」
体を壊してしまったものの、ブラック企業を離れることができたひーるそんさん。しかし、本人にとっては許しがたい記憶の1ページだろう。
■弁護士の見解は…
こうした先輩や上司の発言、会社の文化に法的な問題はないのだろうか。鎧橋総合法律事務所の早野述久弁護士に聞いたところ…
本件では、上司や先輩の行動が違法と判断されるポイントが2つあります。1つ目は、根底にあるサービス残業の文化です。会社が従業員に対して残業代を支払わずに残業させるのは、労働基準法37条に違反し、違法です。
母親の看病が必要なひーるそんさんにサービス残業を強いるほどこの会社ではサービス残業・長時間労働が常態化していたのでしょうが、ひーるそんさんが労基署に申告すれば行政指導の対象になりますし、悪質な場合は刑罰(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科されます。
2つ目は、「お母さん、死んでよかったね。仕事、集中できるようになって!」という発言です。ひーるそんさんがサービス残業を強いられ、母親の看病もまともにさせてもらえなかったという事情も踏まえると、このような人格否定的な暴言はパワハラとして違法になる可能性が高いでしょう。
早野弁護士によれば、「違法性が認められた場合、ひーるそんさんは30~50万円程度の慰謝料を請求することができる」とのことだ。
こちらのブラック企業エピソードは6月10日まで募集中とのこと。気になる人は、相談の意味も含めて応募してみよう。
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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/日本リーガルネットワーク)
(出典 news.nicovideo.jp)
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